2025年2月中にハローワークインターネットサービスの掲載されたデータによると、都道府県別の事業所名公開割合は以下のようになっています。
図表:都道府県別「事業所名公開割合」の記載割合(2025年2月)
都道府県別の事業所名公開割合を見ると、全国平均の90.4%に近い値を示す県が多いものの、地域によってばらつきが見られます。全体的に、中国・四国地方や九州地方で公開割合が高く、関東地方や中部地方で比較的低い傾向が見られます。
鳥取県、島根県、高知県、佐賀県、大分県、宮崎県、鹿児島県など、地方の中小規模の県で公開割合が高い傾向にあります。これらの県では、地域経済における中小企業の役割が大きく、事業所名を公開することで地域住民からの信頼を得て、採用活動を有利に進めたいという意向が強いと考えられます。また、求職者側も、地域に根ざした企業で働きたいというニーズが高く、事業所名が公開されていることが応募の動機につながりやすいと考えられます。
宮城県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、岐阜県、静岡県、愛知県、京都府、大阪府など、大都市圏や工業地帯を抱える県で公開割合が低い傾向にあります。これらの地域では、企業規模が大きく、事業所名を非公開にしても応募者が集まりやすい、または、競合他社への情報公開を避けたいという意向が強いと考えられます。また、求職者側も、大手企業や知名度の高い企業への就職を希望する傾向があり、事業所名の公開よりも企業規模や待遇を重視する傾向があると考えられます。
都道府県別のデータ分析結果を踏まえ、中小企業の経営者および採用担当者に向けて、以下の具体的なアドバイスを提供します。
自社の事業所がある都道府県の事業所名公開割合を把握し、地域特性に合わせた採用戦略を立案することが重要です。例えば、公開割合が低い地域では、事業所名を非公開にする場合でも、企業情報(事業内容、企業文化、従業員のインタビューなど)を積極的に発信し、求職者の不安を解消することが重要です。
地域ブランドを活用することで、企業の魅力を高め、採用活動を有利に進めることができます。例えば、地域特産品を従業員に提供する、地域イベントに積極的に参加する、地域貢献活動を行うなど、地域に根ざした企業としての魅力をアピールすることが重要です。
地方の中小企業にとっては、Uターン・Iターン人材の獲得が重要な課題です。事業所名を公開することで、Uターン・Iターン希望者からの応募を促進することができます。また、オンライン説明会や個別面談を実施し、地方での生活や仕事に関する情報を積極的に提供することで、Uターン・Iターン希望者の不安を解消することが重要です。
若者(特に新卒者)は、企業の信頼性や職場環境を重視する傾向があります。事業所名を公開するだけでなく、企業のウェブサイトやSNSを活用し、若者向けの情報を積極的に発信することで、若者からの応募を促進することができます。
ハローワークは、地域に密着した就職支援機関であり、中小企業の採用活動を支援するための様々なサービスを提供しています。ハローワークとの連携を強化し、求人情報の掲載、合同説明会への参加、企業見学の実施など、ハローワークのサービスを積極的に活用することで、採用活動の効率化を図ることができます。
都道府県別の事業所名公開割合は、地域特性によって大きく異なることが明らかになりました。中小企業の経営者および採用担当者は、自社の事業所がある地域の特性を考慮し、事業所名公開戦略を最適化することで、より効果的な採用活動を行うことができると考えられます。